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H.V.S通信 vol.25 1998年(平成10年)11月



       
びわ湖ホール初体験
~NINAGAWAマクベス~

 
 
 行って来ましたびわ湖ホール。小雨降りしきるある日の夜、パルコのお姉さんにいわれたとおり、大通りをまーっすぐ行くと右手に大きな白い建物が。

あまりの大きさに「要塞」という言葉が脳裏をかすめた。ところでどこに入り口があるのだろう?と心配になったが少し歩くと、あった。

 中も白を基調をされていてまるでホテルのような雰囲気。喫茶コーナーもある。琵琶湖側はガラス張りになっており、帰港するミシガン(またはビアンカ)が近くに見える。


   さて、私のびわ湖ホール初体験はマクベスのゲネプロ(総リハーサル)鑑賞だった。いや、マクベスではなくって蜷川マクベス、いや”NINAGAWAマクベス”を見に行ったのだ。

 この日は県内の演劇関係者や報道関係の方々が集まってのゲネプロ鑑賞会で高校生らしき姿もちらほらあった。演劇をする側のひとたちはどういう風に他の作品をみるのかしら?まして世界の演出家とよばれる人の作品は?

 最後に劇をやったのなんて中学生の三送会の私は、独断と偏見で”劇団員っぽいひと”を見つけてはそう思っていた。

 シェークスピアのマクベスの舞台を日本の安土桃山にもってきた、この”NINAGAWAマクベス”。私は蜷川さんの演出作品はみたことがないのだが、このマクベスについては”舞台を仏壇に見立てる”ということは知っていて、今日はまず、この舞台設定を楽しみにしていた。

 ホールに入ると、おっ、ホール中央部に蜷川さんが座っている。おだやかな表情。そのずっと前方に若い女の人と座っているのは妹尾河童さんだ。そう、河童さんは舞台美術家だったんだ。”河童が覗いた~”シリーズ愛読者の私はどうしてもインドで数々のハプニングにあったりする河童さんをを思い出してしまう。

 おっと今日は、シェークスピアなのだ。


 そして、うわさに聞いていた仏壇はすごかった。仏壇の扉を開けたのち、お弁当などを食べながら舞台のすみに座っている老婆役の存在も異質で関心をそそったが、一番すごい!と思ったのは仏壇の内扉の格子戸。照明によって向こう側が透けてみえるようになっているのだが、これを開けたり閉めたりすることによって、いろんな空間、効果を生み出している。光と空間と役者とが作り上げる一瞬になんども”はっ”させられた。”美しい”の一言なのである。

 
 終了後、びわ湖ホールのパンフをあらためて見た。大ホールとそして今日のこの中ホール、もうひとつ、小ホールがある。NINAGAWAマクベスはびわ湖ホール開館記念公演、中ホールでの最初の上演作品になるのか。

 このときはじめて私はこのホールの外観をパンフの表紙で知った。さっき横を通ったときには大きすぎて気がつかなかったが斬新なスタイルである。ただ、そのときお腹が空いていた私の脳裏には今度は「バームクーヘン」という言葉が浮かんだのだが。とにかく、私のびわ湖ホール初体験は”世界のNINAGAWA”によって美しく演出された、のだ。少なくとも中ホールの中は。

 次にくるときはよく晴れた休日の午後がいい。雨や暗闇や空腹に悩まされず、ゆっくりと今度はそのお姿を拝見したいものである。
(網本ゆか/HVS)


 ドイツから原稿を送ってきていたあの網本である。10月に碧水ホールで出会いました。



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