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H.V.S通信 vol.25 1998年(平成10年)11月




碧水ホール企画上映

1930年代
ニューウェイブ


平成10(1998)年
11月28日(土) 29日(日)
12月 5日(土) 6日(日)



チケット
1日券500円 1日ペア券800円 2日券800円


●11月28日[土]
11:30〜12:46

『アラン』Man of Aran

1934年/76分/イギリス/英語/日本語字幕
監督=ロバート・フラハティ
 『極北のナヌーク(旧題:極北の怪異)』(1922)などの「ドキュメンタリー映画の父」といわれるフラハティの最高傑作。アイルランドの孤島「アラン」で、厳しい自然とともに生きる人々をとらえた映像詩。今回は35mmニュープリントで上映。

13:10〜14:36

『暗黒街の弾痕』You Only Live Once

1937年/86分/アメリカ/英語/日本語字幕
監督=フリッツ・ラング
出演=ヘンリー・フォンダ、シルヴィア・シドニー
 『ニーベルンゲン』(1924)『メトロポリス』(1927)など、ドイツで多くの名作をつくってきたフリッツ・ラングが、アメリカへ渡ってからの2作目。フィルム・ノワールの先駆的作品となり、ゴダールなど多くのシネアストに影響を与えて続けている。

14:50〜16:20

『天使』Angel

1937年/90分/アメリカ/英語/日本語字幕
監督=エルンスト・ルビッチ
出演=マレーネ・ディートリッヒ、ハーバート・マーシャル
 ドイツ時代の名作『嘆きの天使』(1930)に主演し、一躍スターになったマレーネ・ディートリッヒが、アメリカへ渡り『天使』となった。監督は、サイレントの頃にドイツからハリウッドへ招かれ、すでに成功を収めていたエルンスト・ルビッチ。


●11月29日[日]
11:30〜13:04 2本連続で上映

『新学期 操行ゼロ』Zero de conduite

1933年/34分/フランス/フランス語/英語字幕
監督=ジャン・ヴィゴ

『黄金時代』L'age d'or

1930年/60分/フランス/フランス語/英語字幕 監督=ルイス・ブニュエル
 『新学期 操行ゼロ』は、1934年に29歳で亡くなったジャン・ヴィゴ初の劇映画で、自伝的な学園もの。公開禁止が解かれるまで15年の歳月を必要とした。『黄金時代』は、『アンダルシアの犬』(1928)でセンセーショナルな映画デビューを果たしたルイス・ブニュエルの2作目。以降ブニュエルが撮り続けた映画の源泉が、ここに詰まっている。

13:25〜14:48

『極楽特急』Trouble in Paradise

1932年/83分/アメリカ/英語/日本語字幕
監督=エルンスト・ルビッチ
出演=ミリアム・ホプキンス、ハーバート・マーシャル
 この映画は、ルビッチ本人が『街角(旧題:桃色の店)』(1940)『天国は待ってくれる』(1943)とともに最も気にいっていたといわれる。倫理規定確立前夜のルビッチ・タッチが存分に楽しめるサスペンス・コメディ。今回上映するプリントは、ルビッチ生誕100年にあたる1992年に、『天使』とともに新たに公開されたもの。

15:05〜16:27

『周遊する蒸気船』Steamboat Round The Bend

1935年/82分/アメリカ/英語/日本語字幕
監督=ジョン・フォード
出演=ウィル・ロジャース、アン・シャーリー
 当時、ハリウッドの名誉市長になるなど、アメリカの国民的俳優だったウィル・ロジャース。この映画の後、ウィル・ロジャースは飛行機事故で急逝したため、遺作となってしまった。しかし、当時のアメリカ映画の豊かさ、おおらかさよ。これに太刀打ちできるのはインド映画(マサラ・ムービー)ぐらいなもの!?


●12月5日[土]
11:30〜12:49

『プリースト判事』Judge Priest

1934年/79分/アメリカ/英語/日本語字幕
監督=ジョン・フォード
出演=ウィル・ロジャース、H.B.ウォルソール
 ジョン・フォード監督、ウィル・ロジャース主演の2本目。フォードは、この映画のストーリーがよほど気にいっていたらしく、『太陽は光輝く』(1953)でリメイクした。なお、今回上映するプリントは、ジョン・フォード生誕100年にあたる1995年に、『周遊する蒸気船』も含めて日本初公開されたもの。

13:10〜14:50

『M』M-Eine Stadt sucht den Morder

1931年/100分/ドイツ/ドイツ語/日本語字幕
監督=フリッツ・ラング
出演=ペーター・ローレ、オットー・ベルニッケ
フリッツ・ラング自らが最も自由につくれたと気にいっていた、ラング初のトーキー作品。次の『怪人マブゼ博士』(1932)は反ナチを意識してつくられていたために公開されず、ラングはフランス経由でハリウッドへ亡命する。

5:10〜16:25

『春秋一刀流』

1939年/75分/日本語
監督=丸根賛太郎
出演=片岡千恵蔵、轟夕起子
 大スター片岡千恵蔵が脚本を気に入り、その後押しで映画化が実現。山中貞雄監督(1938年に戦死)の再来といわれた丸根賛太郎監督のデビュー作をニュープリントで上映。話のスジのみならず、サイレント映画の手法をトーキーで巧みに生かした映画話術に注目!


●12月6日[日]
11:30〜13:04

『意志の勝利』Triumph de swillens

1935年/94分/ドイツ/ドイツ語
監督=レニ・リーフェンシュタール
 ナチスのニュルンベルグ大会の模様を中心にドキュメントした本作は、史上最強のプロパガンダ映画ともいわれる。レニの純粋な映像美の探究と、現実を巨大なオープンセットにしてしまう力技は、ベルリン・オリンピックの記録映画となった『オリンピア(民族の祭典、美の祭典)』(1938)で頂点を迎える。

13:25〜14:15

『血煙高田の馬場』別題:決闘高田の馬場

1937年/50分/日本語
監督=マキノ正博 共同監督=稲垣浩
出演=阪東妻三郎、香川良介
 遡ること60年前のお正月映画は、早撮りの名手マキノの手により低予算で大ヒット。阪妻の人気復活を告げる映画にもなった。喧嘩安兵衛こと中山安兵衛がキートンばりに高田馬場に駆けつけ、有名な18人斬りを披露するまでのラストが圧巻。

14:25〜15:34

『鴛鴦歌合戦』おしどりうたがっせん

1939年/69分/日本語
監督=マキノ正博 撮影=宮川一夫
出演=片岡千恵蔵、市川春代
 時代劇とミュージカルがドッキング!?はたまた日本初のオペレッタ映画か?あの千恵蔵が歌い、名優志村喬も渋い声で陽気に歌う、不思議と笑みがこぼれてしまう幸福な一篇。この時代の日本にも、大らかな瞬間が確かにあった。




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e-mail michio@jungle.or.jp(中村道男)