H.V.S通信 vol.69 2004年(平成16年)6月
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![]() HVS通信 vol.69 2004年(平成16年)16月 HVS研修ツアー(木田真也・中村道男)...1 続きの話 Ca・Balletまつり-音楽ノ未来・野村誠の...2 \1,000でクラシック...2 カタカナ語解説「ワークショップ」...2 冬ソナ・エクササイズ・ザッツ・ジャズ(minami)...3 ガムラン入門...3 映画「火火」の撮影...3 籐の作品展・ヴィオラスペース2004...4 シリーズ文化経済基礎論(小西広恵)...4 投稿のお願い 編集・発行 碧水ホールボランティアスタッフ 滋賀県甲賀郡水口町水口5671 郵便番号 528-0005 電話 0748-63-2006 ファックス 0748-63-0752 e-mail michio@jungle.or.jp ホームページ http://www.jungle.or.jp/hvs/ 碧水ホールの公式ホームページ http://www.town.minakuchi.siga.jp/hekisuihall/ |
HVS研修ツアー 2004年5月23日(日) テーマ:ディープ大阪におけるアーツの生息状況を見る。 ![]() HVS巡業ツアーに参加された皆さんお疲れ様です。文句なしに楽しかったです。新 世界は国内でありながら海外旅行へ行ったような感覚を引き起こす街で、僕は同じ関西に 住みながら今まで大阪を何も理解していなかったことを痛感しました。まじで、何もかも がディープで、そこにはめちゃめちゃ濃いナマの暮らしがありました。猥雑だけどどこか 憎めない日本の街ですねえ。 通天閣歌謡劇場は強烈に場末な雰囲気ではあるが極上の下町エンターテイメントを、いた るところにある串かつ屋や立ち飲み居酒屋は朝からでもビールが飲める集いの場を、将 棋・囲碁クラブは健全な勝負の世界を、飛田新地は昔ながらの遊郭をと、本能直結型娯楽をひたすら提供している聖地でした。 すべてが嘘くさく、ばったもんくさく、古くさい反面、懐かしく、愛着が湧き、限りなく 真実でもあるものばかりです。バイタリティあふれる空気は癖になるものがありますね。 フェスティバルゲートのアートスペースの見学や、南湖さんの講談もすごく興味深いもの で本当に濃厚な時間でした。またぜひとも行ってみたいです。 (木田真也・HVS) (撮影 藤田利昭/HVS) レポートは碧水ホールボランティアスタッフ『巡業ツアー』と呼ばれる研修です。参加者は途中参加を含め11名でした。 この日の研修地は通天閣歌謡劇場に始まるディープ大阪。歌謡劇場といえばNHK朝ドラの河合美智子演じる演歌歌手「オーロラ輝子」で有名になったところ。観客との密度の濃いやりとりが見所です。半券を見せれば出入り自由なので、新世界界隈の見学に出た人も。 フェスティバルゲートでは、いろんな事情の末に大阪市がアート系NPOに提供しているスペースの数カ所を見学しました。まずcocoroom(ココルーム)をたずね、その主宰者にして詩人、上田假奈代さんにお話をうかがったのをはじめに、「新世界アーツパーク事業」事務局の角さんの案内で「Art Theater dB」などを見学しました。dBはダンスボックス、コンテンポラリーダンスの分野で積極的な活動を続けている団体です。数年前の『巡業ツアー』でも大阪のトリイホールをベースとする活動を見たことがあります。 夕方からは環状線で福島まで移動、本遇寺で開かれている小さな講談会を見ました。出演は旭堂南湖さん、甲南町出身の講談師で古典の他『探偵講談』なるものを聴きました。 「歌謡劇場」も含めて、こういうアートな空間や機能や様々な活動は都市には無くてはならないもの。道路や水道と同じく都市のインフラのひとつ、その街の力と知恵を示すものです。さすがは大阪市だなあという感じ。「都市機能をもった限りない田舎」をめざしている水口ではどうなっていくのでしょうか。 予定どおり(!)大阪駅23時00分の新快速で草津線最終。その一本前の快速に乗ると草津線に間に合いませんからご注意。 まことにディープかつハードな一日。テーマは「街の中に生息するアーツ(Arts)」と言ったところ。きっと今後の活動に役立つことでしょう。 (中村道男/碧水ホール館長) HVS 研修ツアー●続きの話 「フェスティバルゲート?この日曜日に行ってきましたよ。」 「Art Theater dB」 「見学してきました!」 碧水ホールでレッスンを開いている畠中バレーの指導者野玉智奈美さんとの会話。 野玉さんは、コンテンポラリーダンスってとても面白い、是非見に来てくださいとのこと。つまり、彼女も出るのです。構成、振付をやっている北村成美さんは「さきら」(栗東文化芸術会館)の企画でも、魅力的なワークショップをおこなっているとか。 以下、野玉さん提供のフライヤーから。 Ca・Ballet まつり (カ・バレエ) summer festival 上演作品=3作品 total time 75min くるみ割り(風)人形と二十日(ぐらい)ねずみの戦争(キャー) アフタヌーンティー sq ・dance 日時= 2004年7月2日(金)19:30 3日(土)15:00/19:30 4日(日)15:00 開場は開演の30分前 会場=Art Theater dB フェスティバルゲート3F カフェ4デシリットル店内、地下鉄「動物園前」駅5出口より連絡通路有り。 (HVS研修ツアーでは、JR環状線の「新今宮」駅から行きましたけれど。) 料金=前売\2500 当日\3000 チケット取扱=カ・バレエ公演事務局 075-724-1054(平日10:00-18:00) 公演に関するお問い合せもこちら。 チケットぴあでも発売 pコード354-050 各公演100席限定 構成・振付=北村成美 出演=大坪千鶴/木戸麻矢/二瓶みつき/野玉智奈美/早川亜希/三林かおる/やすなみづほ 企画=やすなみづほ --------------- 水口でも、こんな話が聴ける、さすがは「都市機能を持った限りない田舎」です。思わないところへ、「研修ツアー」の話がつながりました。 コンテンポラリーダンスは見るのもやるのもいま注目のジャンル。クラシックバレエの伝統と技術をしっかり身に付けた人のその種の踊りを見るのは楽しいものがあります。 |
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音楽ノ未来・野村誠の世界2004
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音楽ノ未来・野村誠の世界2004 7/24(土)〜8/1(水) で、お返しにお教えしたのが、碧水ホールの公演『音楽ノ未来・野村誠の世界』。 野村誠さんのワークショップとコンサートが今年も碧水ホールで実現します。 昨年のコンサートでは、幻の・・といわれたガムラン作品『踊れ!ベートーヴェン』の再演、ピアノ曲『たまごをもって家出する』の自身による演奏など、野村さん自身が「野村誠作品個展」と表現するように、野村誠作品を聴く貴重なコンサートとなりました。 またワークショップでは、参加者とともに「スケ子っ!!!」という曲名の、音とパフォーマンスによるカオスのような名曲が生まれました。 現代音楽、ガムラン楽器群、共同作曲など興味深いキーワードとともに、ワークショップ参加者との作業が、一つに紡がれていく不思議なアート体験ができます。 今年の、ワークショップ、コンサートでは、MU楽団という若手のクラシックの音楽家達も参加する見込み。天才野村さんの企画はその場でひらめくという不確定要素が多いのです。 大人もこどももはじめての方も参加できます。音楽の指導、子ども達の指導をされている方にも示唆に富んだ興味深い内容、音楽とパフォーマンスにまたがる創作の過程を体験できるワークショップです。 チケットは6月6日発売、ワークショップの受付もこの日から。 碧水ホールホームページにお知らせを掲出しました。 http://www.town.minakuchi.shiga.jp/hekisuihall/ (同封のチラシと同じ内容です。) 野村さん、柏木さんが、第1日目台風で中止から始まった昨年のワークショップの『日記』を書いています。 http://www.jungle.or.jp/sazanami/gamelan/siryou/nomura03.htm 是非親子でご参加ください。 (中村道男/碧水ホール館長) |
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幸田聡子(ヴァイオリン) 山本彩子(チェロ) デュオコンサート サザナミ記念アンサンブルのホームページに詳しいご案内 幸田聡子・山本彩子デュオコンサート go→ |
\1,000円で クラシック 7/7(水)7:30pm 碧水ホールロビーで 幸田聡子(ヴァイオリン)・山本彩子(チェロ)デュオ 今年(2004年)の3月に碧水ホールで「ツィゴイネルワイゼン」や「悪魔のトリル」や「美空ひばり名曲集」を弾いた幸田聡子さん、昨年末の「クリスマス・コンサート」でチェロのトップを弾いていた山本彩子さんの、デュオの活動です。ともに神戸市室内合奏団(神戸市がオーナー)が活動のベース。 碧水ホールでやらせて(!)というお話が伝わって来たのは5月の末ごろ、急なお話には対応が難しいのがホールの悲しいところ、サザナミ記念アンサンブルの皆さんが主催と宣伝を引き受けていただきました。 クラシックは基本的に大人の楽しみです。その背景や現状を少しだけ勉強すると、より楽しむことが出来ます。しかし、大人子どもを問わず、そういう勉強無しにいきなり理解してしまう人がいるのも事実。レベルの高い演奏を、とにかく聴くことが大切です。 「\1,000で楽しめる本格的なクラシック」、こういう宣伝は失礼なような、本格的な内容です。ヴァイオリン、チェロそれぞれの無伴奏の作品もプログラムに。家族や友人を誘って来てください。 (中村道男/碧水ホール館長) カタカナ語解説 『ワークショップ』 work-shop (1)仕事場、作業場 (2)研究会、講習会、セミナー(ニューホライズン2002年版) 最近、コンサートと併せて「ワークショップ」を開催しますという企画が増えてきました。企画の中身をより深くご理解いただくために、コンサートの前に別の日程で、お話を聞いたり(この場合は「プレ・トーク」と言ったりします。カタカナ多〜い。)、実際にやって見せたり、一緒にやってみたりと言う内容が多いのですが、せっかく来ていただいた出演者により近づける貴重な機会でもあります。 「体験学習」と言えると思いますが、「ワークショップ」は街工場の雰囲気、創造の現場をちょっとのぞかせてもらおうという雰囲気が言葉として好まれるのでしょう。 出演者の側は、その「ちょっと」の間に、誤解の無いよう、そして、感動もあわせて伝えたいと色々工夫します。コンサートにはない、聴衆とのやりとりも発生します。素朴な質問、無邪気な質問は時に出演者や担当者をなやませ、新しい発見をさせます。(中村) |
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冬ソナエクササイズ ザッツ ジャズ! [hvs;minami] |
冬ソナエクササイズ! 流行るモノにはワケがある。 ご当地ではもちろんのこと、日本でも大ハヤリの韓国ドラマ「冬のソナタ」がNHKで始まった。かくゆう私も昨年末のBS放映が始まる時、「なんか流行ってるらしいしどんなもんか一ぺん見てみよう。」と何の気なしに見てみたら、あれよあれよと言う間にズルズルとハマッてしまったクチである。みなさんは二週間毎日、ドラマを二時間ぶっとおしでCMもはさまず見たことってあるだろうか?これはもうかなりのグロッキーさんの出来上がりである。いやでもハマる。 魅力はやっぱりそのストーリー。一言で言うと「かわいそうでハラハラする」。「おしん」や「牡丹と薔薇」が当たったのもこういうことだろう。加えて純愛。誰もがあこがれる要素がつまってる。うるうると泣けること多し。ちなみに私は最終回を見た次の日は目えボンボンに腫らしながら年末の大そうじをしてた。 前に何かで聞いたけど「涙を流す」って体にいいんやってね。涙といっしょにストレスも流れ落ちるんやって。うそのようなほんとの話。そう言えば大泣きしたあとって妙に気分がスッキリしてたりする。これはもう一種のスポーツのようなものなのかなあ。「♪なっみっだはこっこっろの汗だ〜。たっぷりながしてみようよ〜。」とはよく言ったものである。私も冬のソナタを見てたおかげか去年の年末は忙しかったのに毎年よりギスギスしてなくて楽しく過ごせた記憶がある。仕事の日の朝に雪がどっさり降っても「きれいやなあ。」って思う余裕があったり・・。 もしもこの健康法を試したい方は冬ソナをどうぞ。もっとハードにデイープにしたいのなら毎日二話ずつぶっとおしで見ることをおすすめする。ただし本当にこれが健康的であるかは保証しかねる。ウルウルの目でどっぷりと悲しいムードで毎日を過ごすかも。ぜひおためしあれ。 [hvs;minami] ザッツ ジャズ! 「倉田大輔JAZZクインテット」を聴いた。ジャズを生で聴くのは多分これがはじめて。 JAZZは――――コーヒーが似合う。お酒が似合う。人だかりが似合う。タバコの煙った感じが似合う。猫背のピアニストが似合う。おっちゃんが似合う。ちょっとうす暗いが似合う。茶色が似合う。青色のライトが似合う。いろんな照明が似合う。 抹茶も似合うかも知れない。クロワッサンも似合うかも知れない。ちょっとおしゃれな砂糖菓子が似合うかも知れない。おもしろい靴も似合うかも知れない。 一番気張らないで聴ける音楽かも知れない。いろんな音楽があるけれども特にJAZZはホンマに生で聴くべきと思った。 そして演奏している人たちがみんなかわいいおっちゃんに見えてくる。ステージには立ってるんだけどそこから他の人の演奏に聴き入ったり、観客のほうをまっすぐ見るでなくいろんな方向を向いたり。ベースのベンベンいう音やドラムのシャンシャカ、トランペットのピリピリいう響きが二週間ぐらい弱っていた私の胃を治してくれた。良薬、耳に心地良し、である。 [hvs;minami] ![]() 立っているのは助監督池上さん。公開は来年1月の予定。(撮影:上村秀裕/碧水ホール学芸員) |
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ガムラン入門 |
ガムラン入門 碧水ホールでは、ジャワガムラン楽器群「ティルト・クンチョノ」を使って、ガムランの練習会を開いています。大人も子どもはじめての人も参加できます。来ていただいた人数によっては、いきなり演奏体験の時間もとれるでしょう。 毎週水曜日午後6時30分ごろから準備、7時には音も出ています。 ガムランは優雅で、豊かで、色彩に富んだすばらしい音です。楽曲全体に感じられるのは、ゆったりした時間のながれと、それに時々引き込まれるようなリズムの面白さがあります。心の楽しみと智恵の楽しみ。空気振動は体の楽しみでしょうか。かたこりも直りそう。 レッスンは特に教科書があるわけではありません。楽器の前に座り、人から叩き方を教わるだけ。 あとは習ったことをノートにしたり、MDで整理をしたり色々自分で工夫をします。打楽器がほとんどですから、その辺の棒で机を叩いてみる訓練は有効です。ある種筋肉トレーニングなのですが、力をつけるのではなく、正確にうごかす訓練、それと打撃の瞬間にどう力を抜くかの訓練です。マレット・・(木琴のばち)などを手に入れるとかっこいいかも。 その音楽の背景となる文化を知るのも必要です。言葉も必要です。「ガムラン的教養」と呼んでいます。これらはやがて自然に身に付くでしょう。 ぜひ、多くの人が自分の参加のスタイルを見つけていただけると良いと思います。 http://www.jungle.or.jp/sazanami/gamelan/ (中村道男/碧水ホール館長) |
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投稿 |
籐の作品展 7月4日(日)10:00-16:00 碧水ホールロビーで コンサートは14:00-16:00 自然豊かなこの地で自然の素材を使った作品展を開くこととなりました。 一本の紐状の籐という「つる」で、伝統ある「かご」・バック・アクセサリー等、無限の可能性を秘めた作品ができあがります。 2時から4時には、声楽、コーラス、琴、ピアノ、エレクトーン、ギター、マンドリンの素晴らしいコンサートがあります。 おいしいコーヒーを飲みながら籐とあわせてお楽しみください。 籐の作品に関してのお問い合せは TEL/FAX 0748-86-2187 仲 多嘉子 (投稿:仲 多嘉子/甲南町在住) ヴィオラ・スペース2004 公開マスタークラスin大阪 6月9日(水)10:00-16:00 相愛大学・南港ホール 12:45会場/13:00開講/18:00終了予定 今年は、大阪でも今井信子さん他の指導による公開マスタークラスが開かれます。注目は、高村明代さん(ヴィオラ・京都市交響楽団)が受講生に入っていること。高村さんは2003年2月に碧水ホールのコンサートにご出演いただいた注目の新人。碧水ホールで活動するサザナミ記念アンサンブルのヴィオラチームでも、見に行こうと言ってます。 「ヴィオラスペース」は1992年に東京・カザルスホール主催のシリーズとして始まったもの、「公開マスタークラス」は1993年から。今年から東京での一連の催しは紀尾井ホールが会場となるそうです。 (中村道男・碧水ホール館長) |
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シリーズ文化済基礎論 その5(最終回)
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シリーズ文化経済基礎論 その5(最終回) ■モノよりココロという考えが定着した後に生まれた私は、それが当然なことだと思っていた 碧水ホール・ボランティアスタッフの小西広恵さんは、京都橘大学の2回生です。 小西さんが1回生のときに受講していた授業のひとつに、文化経済基礎論がありました。誌上で、彼女のリポートを順次掲載してきました。 今回はその最終回。 文化経済基礎論・第9回講義に対する講義内容の要約と論評 芸術創造の経営学 [要約] 芸術創造とは創造する人(クリエイター)がいて、創造の成果(美術品、演技、演奏など)のことである。創造の成果があれば、非専門家(消費者)である享受するひとがいる。 経営というのは、工房・劇団・交響楽団などの組織が行うもので、これらはある意味で生産組織と呼ばれる。 劇団の人的組織は、芸術家と制作者に分けられ、芸術家が非営利目的なのに対して、制作者(プロデューサー含む)はやや営利的なビジネスができ、チケット販売などの公演を中心にした広報活動をするのだ。市場開拓・観客開発をすることをアウトリーチと呼び、その観客と専門家をつなぐのがアートマネージャーである。この仕事は芸術と大衆を向き合わせ、芸術の質を上げつつ、人々へ芸術によって生きる活力を与えることによって両者を結びつける点に特徴があり、芸術の社会性を訴えることをアドヴォカシー活動(世論啓発活動)という。 [論評] アートマネージャーは、芸術と大衆をつなぐという大きな役割を果たしているが、まだまだ仕事として確立するには難しい。知り合いのアートマネージャーの人はアルバイトをしながら活動をしている。私もアートマネージャーを目指しているが、それを考えると本当にこの道に進んでいいのかと悩んでしまう。 文化経済基礎論・第12回講義に対する講義内容の要約と論評 [要約] 文化とは、ひとつは創造の成果を生み出す芸術文化である。例を挙げると、美術・音楽・オペラ(実演)・文学などがある。そのような多様な形式が芸術文化を生み出し、それが芸術文化の振興になる。芸術を振興するためには、公的な支援(補助金)が必要であり、世の中全体で責任を持って支えることが大切なのだ。公的支援がなされると、芸術家の報酬が上がり芸術を積極的に行おうとする人が増える。そして、チケット代が下がり芸術を鑑賞する人が増え、芸術文化の基盤が大きくなる。 二つ目は伝統文化であり、その中で典型的なものが生活文化である。生活文化は芸術を継承し発展させ、人の生きる力を育てる。ただ継承するだけではなく、現代の芸術文化を取り入れることにとって、人々に生きる力を与える。 芸術文化の振興と伝統文化を継承しながら、生活の中に現代の優れた芸術を取り入れ、人々に生きる力を与えることが文化政策である。そして、二種の文化をどのように振興し、人々に活力を与えるかが文化政策の目標なのだ。 画家のゴーギャンは、タヒチの生活を描きながら絵の中に自分の考えを凝縮させた。彼の考えとは一つは明るい生活で、もう一つは自己の存在に耐えつつ、生きる喜びを見出すという人間の現実の姿である。ゴーギャンはその絵の中に三つの問いかけをしており、「自分は何者であるか」・「自分はどこから来たのか」・「自分はどこへ行くのか」を人々に訴えている。 芸術家の問いかけは、人生の生きる意味への問いかけであり、それが人の生きる力を生み出すのだ。生きる力をどのように人々に理解し、共感してもらい、共に生きるか。それを補う一番の方法はモウボルの唱える外部性(芸術を楽しむ人々がどのような効用を芸術から受け取るか)である。 1980年に、モノからココロという考えが定着。モノの豊かさだけでは、報われない、人々は虚しさを覚えるようになり、次第に心を通わせる大事さに気がついたのである。 [論評] モノよりココロという考えが定着した後に生まれた私は、それが当然なことだと思っていた。 (これでこのシリーズは終わりです。8,10,11講のレポートは公表されません。) |
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HVS通信・投稿のご案内とお願い |
テーマは 「わたしのイチオシ」 HVS通信・投稿のご案内とお願い 原稿をお寄せ下さい。発行は不定期です。HVS通信は若干の編集を加えてインターネットホームページにも掲出されます。次回発行は7月下旬の予定。 HVS通信はためぐち感覚、投稿はファックス、E-メール、チラシ裏の手書きやフロッピーを郵送、どれでも結構です。 |