H.V.S通信 vol.40 2000年(平成12年)11月
小さなステージの顛末
小さなステージの顛末(2) さて、前回の続きを... ロビーでは栄川会、栄水会の染色展が9月27日から10月1日まで。久しぶりに指導の栄井先生にであう。展の講評などを出展者と一緒に聞かせていただいた。栄井先生は守山市の市民会館建設の計画にもかかわっておられた。 この展の間の9月30日「水口の歴史講座2講目」、岡山城がテーマ。講演の他詩吟や詩舞などもあり。 この日の夜は明日の夜の映画とミニコンサートのリハーサル。明日は昼に別の講演会が入っているので一旦全部片づける。 なんのくぎりもなく10月。 10月1日は国勢調査基準日、実はホール職員の3人ともが調査員に当たっていて、これまでに調査票の配布、これから調査票の収集にあたる...のはホールの仕事とは関係ないこととして... くもんの会主催による講演会、なんと志茂田景樹氏の公演。テレビで見るよりは地味な印象だったが、それでも十分奇抜なファッションを楽しんでおられた。講演は「もっと子ども達に絵本のよみきかせを..」というもので、スライドを使って自作の絵本の朗読なども含まれるもの。このテーマを聞いていたので、我が町のアンデルセン巌谷小波の資料を準備しておいてお渡しする。当然のことながらすでに小波のことはご存じであった。 この日の夜は古城が丘のオリカイネンさん主催による映画会とミニ・コンサート。 10月3日(火)再びロビーに小さなステージが登場する。アドゥーンというタイの人が、竹製のシロホンを演奏しながら、日本語で自作の詩を唱うというコンサート。観客はすくなかったが元気。ビデオ収録。コンサートが終わってから、アンコールの声も出たが、「すでにいつもよりたくさん歌ってしまってる..」という主催者の話。では、お話をということになって、アドゥーンさんの日本での活動など、大ディスカッション大会となった。大学時代に日本へ留学したそうで、日本人よりも正確な日本語を話す。通じなければこちらの日本語がおかしいのだ。この人は心に残るアーティストの一人となるだろう。幸い翌日の神戸の会場は小さいながら満席となったそうだ。 来週にもロビー公演が予定されているので、小さなステージはそのままにしておく。 5日水口町シルバー人材センター臨時総会。いつも客席のメンテナンスや夜間受付管理をお願いしている人達の顔も見える。 6日(金)午後1時30分頃地震。最初ゆっくりした横揺れで、一瞬めまいに似た感覚におそわれ、仕事のしすぎかと思ったが、そうではなかった。すぐに、舞台の照明などのつり込みを見に行くとゆっくり揺れていた。そのことを上村学芸員に話すと、そういう軽率な行動をとらないように注意を受けた。地震の直後はとりあえず吊りものに対して取れる対策はないので、十分揺れがしずまって、落ちるべきものが落ちたと思われる時点で点検に入るそうだ。定期的な点検、ルール通りの使用が大きな対策。 吊しのライトなどは、金具の他、ワイヤーと電気コードで三重にからめる習慣になっている。 島根県で被害。 夜に研修会が一つ。 7日(土)「お琴と尺八コンサート」は田代さん他のグループ。午前中から搬入・設営・リハーサル、夜本番。ホール内でもステージを使わずにアリーナへ舞台を組むパターンがこのホールでは好んで使われる。出演者は総勢20名を越え、用意されたお琴の数はさらにそれを越える。満席なのはさすが。 8日ピアノ発表会が一つと夜はカスタネット(演劇ふたり組のグループ)による朗読会。巌谷小波の作品をとりあげる。「しろやまたかくあらずとも・・」のメロディーを縦笛で演奏しながら登場。この曲は「ひこそこめ」で有名な水口小学校の校歌である。最後の一節が「日こそ来め」なのだが、意味よりも音の方の印象が強いので。 展示コーナーのパネルをうまく使って、小さな舞台ができた。 練習室では終日ジャズのグループの練習。本番中はご遠慮ねがう。 毎週木曜日の夜に、「サザナミ記念アンサンブル・ヴァイオリン教室」の練習が入る。 子ども達といっしょに市民オーケストラを作ろうというグループ。1999年のニューイヤーコンサート(教育委員会主催)で「京都チェンバーオーケストラ」とのご縁が出来たことがきっかけになっている。まだ数ヶ月目、参加者は全く初めての人というのが条件だそうで、ヴァイオリンの練習は大変楽しそうだ。子どものグループが6時から、大人のグループは7時、7時30分、8時からの時差出勤で、さらにヴァイオリンとビオラのグループがある。先生は2グループくらいいっぺんに指導する。そのうち一つのアンサンブルになるだろうということだが、部屋がたりない。まことにオーケストラとは大変なものだ。 練習の始まる前、みんながバラバラに音を出しているときなどは、ステキなコンサートの始まる前みたいな雰囲気で、心地よい。 また、木曜日にガーリーさんの英会話教室が開かれている。こちらも部屋が空いてないときはロビーでやったりと、結構大変。 12日木曜日はそのような状況の所へロビーでの公演がもう一つ。「ヤムナ・流れる川のようにヨーロッパ日本ツアーコンサート」。碧水ホールのボランティアスタッフの一人をたよって、このホールでの公演を決めたもの。 ヴァイオリンでインド音楽を演奏するのは珍しいことではないが、それをチェコ人がやっていて水口で演奏しているというのはやはり不思議だ。ヴァイオリニストは言葉は通じなかったが、ロビーに置いてある縮尺ヴァイオリンや、レッスンの様子をほほえみながら見ていた。多分彼は小さな頃からヴァイオリンをやっていて、クラシックの演奏家であったに違いない。演奏からもそんな風に感じられる。 コンサートが終わってから、希望する観客にヴァイオリン教室を見てもらった。私は女性3人を案内した。ホールではヴァイオリンの練習、舞台を抜けて、楽屋ではビオラの合奏の最中。ビオラのグループは見学者の内の一人が今日がお誕生日だということを聞くと、ハッピーバースデーを演奏した。思いがけない演奏に、その女性は驚き、そして、少し感動したようだった。演奏は下手でも(失礼)人を感動させることは出来る。この人はきっと10年先に発足するサザナミ記念オーケストラの最初のファンになってくれるだろう。 後で、コーヒーを飲みながらアンサンブルの世話役たちと話す。「あの手は使える...」。 11、13日企業関係の説明会など。 14日(土)午後は「水口の歴史講座」3講目、講師は地元の郷土史研究家のおふたり。すでに県の企画「ふるさと再発見」で発表されたものに加えて、あらたにスライドの撮り直しなどもお手伝いする。 夜、碧水ホールロビーライブハウス化計画の3企画目、「Versus アヴァンギャルドな和楽器達Part2」は午後から仕込み・リハーサル、夜本番。ピアノを使用することもあって、小さなステージは一時ホール内へ片づけられた。 展示コーナーの移動パネルには、手漉き和紙の装飾、床にもオブジェと和紙を使った明かりが置かれ、良い雰囲気である。 いつもながら、ピアノの移動は大変なので、何か工夫が必要だ。最終的に生音で行くこととなったので、待機していた音響担当は、おしゃべり用のマイクのみセッティングして帰ってもらう。 16日(月)夜、個人演説会。 17日(火)夜「塩見裕子ヴァイオリン独奏会」。小さなステージの再登場。カーペットを乗せて、足音をふせぐ。 午後4時入りで、会場のチェックとリハーサル。大抵の場合、クラシックはリハーサルでその日に演奏する曲の全部を演奏する。この日もそうだった。本番は7時30分から。 まことに得難い機会であった。 翌日18日朝、小さなステージをかたづける。 商工会記念式典打ち合わせ。 ロビーでは書道展、写真展などが計画されていて、今のところ12月2日のグラスホッパーコンサートまで小さなステージの出番はないが、勢いでもう少しホールの出来事を書いてしまおう。 19日 福岡県春日市から視察 文化祭リハーサル、20日も。 21日(土)甲賀郡母子寡婦福祉大会の準備 22日(日)同本番 プログラムに「体験発表」というのがあって、舞台袖で見ていて、感動してしまった。 道上洋三さんの我が母を語るといった感じの講演もすごかった。 夜、グラスホッパーコンサートの練習。このコンサートは、ウィリアム・バードの名前を冠した「バードコンソート」というコーラスグループが中心。もう十年以上も前に、貴生川公民館の2階で第1回のコンサートを開いている。10回目の演奏会で碧水ホールのロビーをお使いいただくことになったのも、何かのご縁だろう。サザナミ記念アンサンブルも活動の様子をご報告するといった程度だが、出演させてもらうことになっている。 メンバーの皆さんからロビーの残響についていろんな話をきかせてもらったが、参議院議員補欠選挙の開票事務のため話は途中まで。 23日(月)監査 24日(火)夕方から京都アルティで塩見裕子さんのバッハ無伴奏の夕べに出かける。京都駅の美術館「えき」でビートルズ展。ブッチャー盤のジャケットを初めて見た。思っていた以上に前衛的な人たちだったのだ。イギリスという国の成熟を思わせる。 塩見さんのシャコンヌは素晴らしかった。 25日(水)空きの日にホールの掃除と、空調の切り替え、客席の照明の修理、それぞれのメンテナンスが重なって入る。 企画上映「雷蔵in水口」の展示作業始まる。 26日(木)サザナミ記念アンサンブル「小さなコンサート」の第1回(2回、3回のご案内がHVS通信この号に)。これはホールの舞台上で開かれるコンサート。初めてのことではないが、めずらしい。人数、音響の関係でロビーが良いのだけれど、グランドピアノをロビーまで移動することが難しい。反響板を出すことにした。.....文化祭リハーサル時のセッティングを崩すことになったが.。 20分間、モーツァルト1曲、数楽章だけを聴いて、その印象をそっと抱えるようにして帰れる..なかなか良い心地だろう。 練習の日のスケジュールの間をぬって、これから毎月末の木曜にやるとのこと。「小さいけれど本格的でアットホームなコンサート(と、主催者.)」に育ってほしい。 28日(土)水口の歴史講座第4講。主催者から「来年もよろしく」との丁重な挨拶。 29日(日)碧水ホール企画上映 「雷蔵in水口」は予想を上回るたくさんの入場者。雷蔵ファンだけでなく、かって水口でロケーションが行われた映画ということもその一因か。内藤映画美術監督と米田学芸員(水口歴史民俗資料館)のトーク付き。当時、ロケを見に行った人、セットを作った大工さん、エキストラとして出演した人などたくさんの話を聞く。撮影隊がやってくるのはお祭り級の出来事だったことが想像される。もはや伝説のロケーションである。 11月1日(水)水口中学校の文化祭が水口文芸会館で。雨もようのため、イベントホール以外の全スペースを中学生の昼食のためにお使いいただく。 午後、水口町美術展運営委員会 3日、5日水口町文化祭(文化協会主催)芸能発表の部が終日10日〜12日水口町文化祭(文化協会主催)展示の部 12日は前庭で全国曳山囃子大会関連行事のフリーマーケット 14日〜17日はそれぞれ貸館の催しがあって.. 11月18日碧水ホール自主企画 「浄土声明+インド音楽+ダンス」 ....これを是非とも書いておきたかったのです。 (中村道男・碧水ホール館長) |
ち い さ な ス テ ー ジ の 顛 末 2 |