『キートンの船出』


The Boat (1921)

出演:バスター・キートン、シビル・シーリー、エディ・クライン
監督・脚本:バスター・キートン、エディ・クライン
製作:ジョセフ・M.スケンク、コミックフィルム作品、ファーストナショナル配給   上映時間22分 公開 1921.11.

【あらすじ】
 マイホームパパのバスターは、家族とマリンレジャーを楽しむために、クルーザーをハンドメイド、このたびようやく完成した。その船を運び出すのに車で牽引しようとするが、建造作業場だった一階のガレージの出口が狭くて苦労する。無理な牽引の結果、家に被害が及ぶが、バスターは、船に[DAMFINO=知るもんか]号と名付けるような性格、家をそのままにしてマリーナに向かった。
 運河に面したマリーナでの進水式。船の造りに問題があったのか、進水ならぬ浸水式になってしまうが、家族みんなで手直ししていよいよ出航。海に向かって運河を下っていく。さすがに設計は抜かりない、橋の下をくぐる時にはマストや煙突が引っかからないよう工夫されていた。河口で一休みの後、大海に乗り出す頃には、夕闇が訪れていた。
 夜も更けて、あとは寝るだけという時刻、海は嵐で大荒れに。一枚の枯れ葉のように波に翻弄される「知るもんか号」、バスターは救難信号を他の船に送って、助けを求めるが…。

【かいせつ】
サイレント期キートン唯一のホーム・コメディ=妻子を連れての外航記(?)。映画的完成度は同時代のキートン自身の作品も含めて、数多くの喜劇の中でも極めて高いものである。50年代に旧キートン邸よりフィルムが大量発見されたことで今日のリバイバル上映が可能となったのだが、本作がそれらフィルムの中で最も危篤状態にあったといわれている。船の名前がラストのおちになる。

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