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H.V.S通信 vol.42 2001年(平成13年)1月



vol.42-81
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 あなたのピアノ+弦楽四重奏ワークショップとマンハイム室内楽オーケストラの関西弁とベートーベン「七重奏曲」と・・・
ファゴット口村尚美さんの話

 

 どこから話をはじめよう。

年夏、碧水ホールで開かれた『オーケストラとすごす夏休み』というコンサートのシリーズのなかで「あなたのピアノ+弦楽四重奏」というワークショップのプログラムがあった。20名ほどの参加者がいくつかの課題曲の中から好きなのをえらんで、弦楽四重奏との合奏を体験するという楽しい催しだった。京都チェンバーオーケストラの指揮者・音楽監督である鈴木博詞さんの監修・指導で、したがって、弦楽四重奏のメンバーも京都チェンバーオーケストラの人達だったのだが、その中の一人にいつも連絡を撮らせて頂いている河本学さんというヴァイオリニストがおられる。コンサートの企画やメンバーのシーティングなどを担当している人。このワークショップでも二日間ともつきあってくださったメンバーの一人だが、その人の友人で、ちょうどドイツのマンハイムから「お盆」で帰省中の茂木立哲也(もぎだててつや)さんというヴァイオリニストも一緒に参加してくださった。彼はとなりの市のハイデルベルクのオペラハウスのオーケストラで活躍している。ビオラは鈴木博詞さんだったから、この小さな子供も参加したワークショップは豪華メンバーだったわけだ。茂木立さんからも大変楽しい経験だったと後にドイツからお葉書をいただいているのはHVS通信38号に。

て、この2月末から河本さんはドイツへ短期の留学をすることになった。ここで、茂木立さんの奥さんの長谷川明美さんが登場する。ドイツ・マンハイム・クアプファルツ・カンマー・オーケストラというAランクのオーケストラでヴァイオリニストとして活躍している人。マインツとマンハイムの音楽大学で講師もしている。若くして名古屋フィルでコンサートミストレスをしていたという話も聞く。以下、ドイツ・マンハイムにおける夫婦の会話を勝手に想像してしまうと・・
 「あら、内のオーケストラにときどき関西弁でしゃべるファゴットの演奏家が来るわよ。けっこういけてる。」(あくまでも想像の会話です。)
「はい、はい」
「聞いてみたら、京都の近くの水口の出身なんだって。」
「え、そこ、この夏、河本さんと行った碧水ホールのあるところだ。あれは、なかなか楽しいプログラムだった。」
「彼女、3月ごろには日本へ一時帰国するらしいわよ。」

 話は水口へもどるが、河本さんは昨年の6月から、鈴木さんと一緒に「サザナミ記念アンサンブル」の指導に来ていただいているので、毎週木曜日には出会うのだが、
わざわざ別の日に、水口出身のファゴットの奏者を知っているかと、電話をくださった。口村尚美さんという方だそうで、それならばと、さっそく事務機のクチムラさんにたずねて見る。同じ虫生野の親戚に音大を出てすぐにドイツへ留学したという女性がいるそうだ。確かにファゴット奏者の就職先は水口にはまだない。

水ホールではこの3月29、30日にピアノワークショップの二回目と『早春に贈る室内楽』コンサートを開く準備を進めている。『早春に贈る室内楽』コンサートは1992年このホールがコントラバスの奥田一夫さん他を迎えて初めて開いたコンサートの名称である。21世紀最初のコンサートはこれにちなんで、「管楽器もまじった室内楽がいいなあ。」などと勝手な注文を館長が出している。
 ベートーヴェンの「七重奏曲」をメインにするのはどうだろう・・・と鈴木さん。この七重奏はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、クラリネット、ファゴット、ホルンの編成だ。
 「ん?ファゴット!」とひらめいたのは河本さん。話はさっそく在ドイツの音楽家ご夫妻をわずらわせることになった。口村さんは日本滞在の日程をすこしのばして、ご快諾をいただいたとの連絡。そして、期待どうりのことが起こりつつある。ほどなくドイツの口村さんからプロフィールと一緒に「自分が好きで選んだ道、つらいことも多いけれど、その分何かが得られると信じて、これからもがんばります。」と、元気なファックスが届いた。以前に京都チェンバーと演奏したこともあるそうだ。お歳ごろからすると、成人式には碧水ホールへ来てるはず。ともあれ、3月30日夜の『早春に贈る室内楽』コンサートにまたひとつ喜ばしい話が加わった。大変楽しみにしている。
 ヴァイオリンは塩見裕子さんの予定。

 碧水ホールの催しはかくも奇遇に満ちている。そして、その奇遇をすくい上げるのは平素の活動、ネットワークと、フットワークだ。
(中村道男・碧水ホール館長)
あなたのピアノ
+弦楽四重奏
ワークショップと
マンハイム室内楽オーケストラの
関西弁と
ベートーベン「七重奏曲」と・・・

ファゴット口村尚美さんの話


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