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H.V.S通信 vol.65 2004年(平成15年)11月 home




HVS通信 vol.65
2003年(平成15年)11月



「銀幕の湖国」の価値(岸田幸治)...1
レポート■ロビーライブ二本立て( Satsuki /HVS )...2
11月12月の碧水ホール....2



編集・発行
碧水ホールボランティアスタッフ
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雨月物語 1953大映   森雅之と京マチ子
湖国ゆかりの映画選11/29(土)11:30から上映
吉田馨著『銀幕の湖国』の価値
 最初にお断りしておくと、以下は社員による自社出版物の宣伝である。
 私たち滋賀県在住者にとって、吉田馨著『銀幕の湖国』の価値は、自分たちが住む土地が日本映画に貢献したことを豊富な例によって紹介しているという点にももちろんあるが、その掲載作品の多くが東映京都などの娯楽時代劇で占められており、通常であれば観ることもなかった映画に接するきっかけとなる点にあるのではないか?
 正直に言ってしまうと、私は新聞連載時(注)に掲載作品の多くを知らなかった。なぜかと言えば、娯楽時代劇というジャンル自体に興味がなかったのである。これは私の個人的な偏向というわけでもないだろう。沢島忠監督が『沢島忠全仕事 ボンゆっくり落ちやいね』(ワイズ出版)の中で再三グチっているとおり、公開当時から京都製作の娯楽時代劇といえば、東京の映画批評家からは一段下に見られており、キネマ旬報のベストテンなどにランクインすることもなかった。であるから、東京在住の評論家が書いた映画本をもとに、私たちの世代が日本映画の過去の映画にあたる場合に、それらの作品名自体を目にすることはほとんどない。
 どちらのジャンル関係者からも叱られそうなたとえで申し訳ないが、つき合いで買った地元出身の演歌歌手のCDを聞いたら思いのほかいい曲だったの驚いたというような具合。
 言いたいことは以上だが、気づいたことを一つ。沢島忠監督の『海賊八幡船』(60年)。八幡船が寄港して、浜で家族らが出迎える(この数がすごい!)。着岸を待ちきれない男たちが船から次々に、もうこれでもかこれでもかという感じで飛び込むシーンが大好きなのだけれども、見始めてまず連想されたのが、「空飛ぶゆうれい船」(69年)をはじめとする東映動画製作のアニメーション映画である。そもそも批評家のアニメ映画に対する扱い(宮崎駿アニメが異常にもてはやされるようになる以前)と京都の娯楽時代劇に対する扱いが似てるのだなというのは置いておいて、漫画チックなキャラクターによる歌あり笑いあり涙あり、大立ち回りありの活劇というのは、京都の時代劇から東映動画へ引き継がれたのではないかということ。子供の頃にそうしたアニメ映画にふれている私たち世代は、沢島映画を見て既視感をいだくのである。「ひばり・チエミの弥次喜多道中」(62年)の、演目終了後の客席に誰もいない舞台で主役気分にひたる下足番2人(美空ひば りと江利チエミ)の長く伸びた影が踊るシーンは、何かのアニメにあったよなと感じてしまう。影響関係があるとすれば逆なのだろうが。
 確認のため、57〜68年まで東映動画に所属、その後『ルパン三世 カリオストロの城』(79年)などの作画監督として知られるようになるアニメーター・大塚康生による回想録『作画汗まみれ 増補改訂版』(徳間書店)を読みなおしてみたら、
あっさり見つかった。「(1964〜65年ごろの東映動画は組織上の大きな変動期にあり)東京・京都両撮影所で演出助手の経験のある人たちが、大勢配置転換されて動画スタジオに入って来ていました」。同書巻末に収められた演出家・高畑勲執筆「60年代頃の東映動画が日本のアニメーションにもたらしたもの」には、「東映動画の演出家は、(中略)急激な映画産業斜陽化によって東映京都撮影所から流入した実写映画出身者が多かったことには意味があったかもしれない」ともある。実感としてわからず、読んでもすっかり忘れていたのだ。
 なお、同書の中で大塚氏が(手塚治虫のアニメ製作の手法に対比させる形で)「伏線を張りながら、ラストの山場に向かって収斂するようにドラマを盛り上げて」いく東映の劇映画の典型としてあげているのが、内田吐夢監督『血槍富士』(55年)。これはほんとに泣けるし笑える。『銀幕の湖国』にあるとおり、大津市雄琴などでロケが行われた作品で、碧水ホールでも来年1月に上映される。普通だったら絶対観ないであろうアニメファンもぜひ。
(投稿:岸田幸治/サンライズ出版)
(注)2000年4月2日から2001年9月30日まで毎日新聞で『吉田馨の銀幕の湖国』として連載
書籍『銀幕の湖国』は碧水ホール窓口でも発売中/1680円

11/29-30(土-日)
碧水ホール企画上映
湖国ゆかりの映画選
入場料1回500円
フリーパス前売2000円、当日2500円
(フリーパスのみチケットぴあでも取扱Pコード472−168
  全国のセブンイレブン、ファミリーマートで発券)

29(土)11:30 雨月物語(1953年)
    13:30 反逆児(1961年)
    15:40 幻の湖(1982年)
30(日)11:30 祇園祭(1968年)
 14:40 冒険大活劇 黄金の盗賊(1966年)
 16:30 彌次喜多道中記(1938年)

【主催】水口町教育委員会 碧水ホール
【後援】滋賀ロケーションオフィス

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2003年11月22日から