『キートンの マイホーム』


One Week (1920)

出演:バスター・キートン、シビル・シーリー、ジョー・ロバーツ
監督・脚本:バスター・キートン、エディ・クライン
製作:ジョセフ・M.スケンク、コミックフィルム作品 、メトロピクチャーズ配給
   上映時間20分 公開日1920.9.1

【あらすじ】
 9日月曜日:今日はバスターとシビルの結婚式。式場から出てきた二人は、マイク伯父さんにもらったアップルストリート99番地の土地へ車で向かうところ。運転手はシビルにフラれたハンディ・ハンク。途中でシビルを奪い去ろうとするが徒労に終わる。目的地に着き、ポータブルハウスカンパニー製の組立て式住居のパーツを受け取ったキートン夫妻は力を合わせて組立てにとりかかった。
 10日火曜日 シビル「朝御飯できたわよ」バスター「今行くよ」。いかにも幸せそうな二人に嫉妬したハンクは、パーツ箱の番号を書き換えるという嫌がらせに出た。順番通りに組立てればきちんとしたのが建つはずなのに。
 11日水曜日 家の組立てが完了。なんか変?いや、かなりへんな家の外観。入口もどこにあるのやら。下から引っ張ると下に伸びてくる天井。シビルが楽しみにしていたピアノもうまく設置できない。幻滅するシビル。
 12日木曜日 家の内装にとりかかるバスター。ジャケットを床に置いたまま、上から絨毯を打ちつけてしまったりドジの連続。けれども、入浴等の日常生活がどうにかこうにか出来るようになったのは、とりあえずうれしい。
 13日金曜日 新築祝いのパーティーを開く。その最中に強くなった風雨。お客の一人は帰り際に「メリーゴーランドの楽しいひとときをありがとう。木馬が付いてればもっとよかったんだが」と言い残した。
 14日土曜日 変わり果てたマイホームの姿に「エー、何これー」となる二人。追打ちを掛けるように住所が間違っていたことが判明。引っ越しの準備を始める。そして、迎える15日の日曜日…

【かいせつ】
アーバックルがそのアナーキズムを身体的あるいは社会学的に実現するのに対し、キートンはそれを物理学的な法則と機械的な仕組みを利用し、大きな形式(G・ドDルーズの概念)の下に実現する。キートンの監督作品として最初に公開された(製作は2番目)この作品において、彼はその才能を最高度に発揮している。慎ましい日常的な積み重ねが、荒々しい映画的なアクションの嵐の中で木っ葉微塵に砕かれる、その素晴しい視覚的なギャグ。明らかに異常な外部をごく当り前のことのように受け止める無表情な顔(Great Stone Face)。調子っ外れのメカニカルなオブジェetc。ここにはキートン的なものの見事な結晶化がある。公開当時の評判もよく、“the comedy sensation of the year”と賞賛する批評があった。ちなみに共同監督のエディ・クラインは、キーストンスタジオ出身。

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