『キートンの隣同士』


Neighbors (1920)

出演:バスター・キートン、ヴァージニア・フォックス、ジョー・ロバーツ、ジョー・キートン
監督・脚本:バスター・キートン、エディ・クライン
製作:ジョセフ・M.スケンク、コミックフィルム作品メトロピクチャーズ配給
  上映時間16分 公開日1920.12.22

【あらすじ】
 キートン一家のアパートとヴァージニア一家のアパートは、塀一枚で隔てられた隣同士。バスターとヴァージニアは、その塀を媒介にして想いを伝え合う恋人同士。ところがふたりの親同士は仲が悪い。娘が隣の息子とつきあうなんてことは、以ての外。ヴァージニアの父親はバスターにとって塀より高い障害物である。二人のためにバスターは、その障害物と徹底抗戦。両アパート間にあって利用できるものは何でも利用する。物干しロープや電線は逃走の線、細工した塀は闘争の装置、真ん中に立っている電柱は八方監視方式パノプチコンといった具合。しかし、その情熱も、通りがかりの警官を巻き込むようになると、世間を騒がすことになる。きりきり舞いの警察は、両家の主人とバスターを連行することで事態を収拾した。
 家庭裁判所で「もう喧嘩はしません、仲良くします」という宣誓書にサインする両家の主人。こうなるともうバスターとヴァージニアの仲を邪魔するものは何もない。判事の媒酌のもと、二人は晴れて結ばれる運びに。ところが結婚式当日、花嫁の父がバスターの用意した安物の指輪に腹を立てて、式は中止に追い込まれ…。

【かいせつ】
親同士がいがみ合うも、隣家の娘と恋仲のキートン。同じアパートの友人と共謀して彼女を連れさる作戦を…。落語に通底する定石的な「長屋の小咄」ながらも、パントマイムとアクロバットが炸裂し、ライブ・ステージの緊迫感と偶発性、映画の持つ綿密な算段が見事に融合した傑作。

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