![]() HVS通信 vol.61 2003年(平成15年)7月 |
トンガリ32(〜33)(南香苗)...1 音楽ノ未来・野村誠の世界(中村道男).....1 企画上映 ボリビア・ウカマウ集団の軌跡.....1 HVS,KBS滋賀の生放送に(上村秀裕)...2 ●私のイチオシ・WWE(井上陽平)....3 ●PICA LIVE(道下典子)....3 ●私のイチオシ・近くのおフロ屋さん(野崎あき男)....3 ハイトイウノウ(タケワカトモミ)....4 僕たちの遠距離恋愛(2)...4 |
見逃すな!見逃すな陽平ライブ |
![]() そりゃぁ迷わずWWEです。アメリカ唯一にして最大のメジャープロレス団体で、もはや野球・バスケット・アメフトと並ぶといわれているほどの人気を誇ります。日本でもすでにフジ系列でテレビ放送があり、7月17日〜19日の来日ツアーもチケット即完売という状態ですから、今さら「私の...」という冠はいらないものではありますが。 すでにガイド書も数多く出版されていて、WWEのカメラ、音響、照明はもちろん、試合内容やキャラクター設定などに台本があり演出もされていることが周知の事実となっています。WWEは「退屈な真剣勝負より満足してもらえる八百長」を選びました。これはとてつもなくハードなことです。満足させるためにはある程度「お約束」もあり、同時に驚かせる・予想を裏切ることもしていかなければいけません。しかもドラマや映画のように「最終回」はなく、毎週2時間の放送が延々と続くのです。さらにそれを毎回大観衆の中で提示して、反応を見て修正したり拡大したりしなければなりません。私は「真剣勝負だからつまらなくなる試合もある」という理由でくだらない試合を見せて金も返さない自称“スポーツ”より、WWEのこの決断を断固支持します。 さらにこの団体の素晴らしいところは、「台本や演出はあるが、基本はレスラーにまかせる」という立場がはっきりしていることです。試合前の舌戦やストーリー展開、試合のフィニッシュは台本にあっても、ゴングがなってからフィニッシュに至る過程は選手が作り上げなければなりません。そのフィニッシュに説得力を持たせる積み上げができるかがポイントですから、WWEは「台本が無くても試合ができる一流レスラー」しか使いません。だから台本を離れたところで起きる驚きや感動も多く、試合をさらに深いものにしていきます。そこから発生する熱をまた台本にしていく、という作業もあり、まさに「プロット(台本)」と「アドリブ(レスラーの感性)」が一体となって巨大なエンターテイメントを作り上げているのです。 |
WWEはプロレスが八百長か真剣勝負かという二元論を無意味化しました。そしてプロレスを頭で考えながら、つまり展開を予想して当たって喜んだり、裏切られて驚いたりしながら見るおもしろいエンターテイメントにしました。もちろんそこには裸の大男がぶつかり合うことへの単純な興奮はなくさず、肉感的なエンターテイメントもしっかり残しています。ある調査によるとWWEを見ている人の40%は高学歴のホワイトカラーだそうです。日本でもいわゆるプロレスマニア以外のファンが多いと言われています。私の友人は映画とジャズが好きで日本のプロレスには見向きもしなかった奴ですが、WWEはおもろいと断言しました。また旅行先のニューヨークで見たライブは、ネクタイ組もTシャツ組も、白人も黒人も黄色人種も、あらゆる社会階層の人々が興奮していました。こんなエンターテイメント、他にあるか? おおげさに言うなら、WWEは「現在に生きる人間の成熟のあり方」を問いかけています。基本的な可能性のすべてが出そろった「成熟社会」に生き、すでにあらゆる分野の限界やウラのカラクリも含め、私たち(私と誰だ?)はあまりにもたくさんのことを知ってしまいました。一時期それで「三無主義(無気力・無関心・無感動)」と呼ばれてシラケる時期もありましたが、今やそんな状態さえ過ぎ、私たちは今「シラケてもいいことないし、やっぱり何かやらんと気が済まん」という地点に立っています。 そこでいろんな試みが大発生しているのだと思いますが、共通しているところは「夢中になる」ということ。もうちょっと詳しく言えば「限界があろうがカラクリがあろうが全部ウソとわかっていようが、何でもいいから夢中になりたいんだ」ということです。ロックンロール風にいうなら「過去でも未来でもなく、今この瞬間を輝かせるために」という感じ。 そこでWWEは巨大な提案をしてきたのです。「私たちのやっていることは『ショー』だ。台本も演出もある。しかし最高のレスラーと最高のスタッフで、最高のエンターテイメントを見せる自信はある。夢中になる気はないかね?」と。そして多くの人がその提案に乗りました。大人もこどもも自作のプラカードを持ち、せいいっぱいのブーイングと歓声を上げて楽しんでいます。客の方も「カラクリがあろうがなかろうが、楽しいもののは楽しいんだ!」とわかっているのです。 |
9・11のテロ事件の直後の放送では、普段は悪役をしている社長が出て行ってもブーイングを飛ばさず、「こんな時だからこそ、私たちはテロの集団たちに『俺たちの暮らしは揺るがないぜ』というために、いつものように大いに興奮しようじゃないか!」という言葉に大拍手が起きました。社長はリングの中では悪役をやっているが、本当は真摯な尊敬できる経営者だと観客は知っていました。その上で普段は彼に「asshole(ケツの穴)」などという罵声を浴びせていたのです。なんと成熟していて素敵な関係なんだ、と思います。 うじうじしたりシラケているよりやっぱり夢中になりたい。そしてどうせ夢中になるなら最高のものに夢中になりたい。そんな気持ちに応えてくれるエンターテイメントWWE! ぜひみなさんの目で確かめて欲しいです、といってももうチケットないけど。 (井上陽平・HVS ) ![]() 大阪市天王寺区大道1丁目2-19 Tel&Fax 06-6776-9351 8/8(fri)pm8:00start 数々の奇才を生んできたミステリアスゾーン、滋賀県甲賀郡。井上陽平氏はそこに住んでいます。これまでに5枚のCD−Rを制作。ロックやその周辺に対する愛情と論理性の狭間でゆらゆら揺れる音楽。 文才もある彼のトークも聞けたらしあわせ。 (道下典子さん:元HVSのお便りから) ![]() おふろ屋さんなら、私は野洲の「ほほえみの湯」が一番すきです。私の住まいは甲西町で、大津の「やまとの湯」、南草津の「極楽湯」、甲西の「十二坊温泉」他、守山、信楽のおふろ屋さんに行きましたが、施設の使いやすさ、おふろの種類等、ここが一番です。 館内にはジャズがゆったりと流れており、私はジャズとおふろの相性がいいことを初めて知りました。 ぜひ、行かれたことがない方は行ってみてください。 (野崎あき男・HVS) |