![]() HVS通信 vol.64 2003年(平成15年)10月 |
HBTYにはかなわないっ。(minami)...1 ●野村誠の世界・アレクセイと泉(上原秀格)...2 ●奄美島唄ライブat碧水ホールについて(上村秀裕)....2 「湖国ゆかりの映画選」・・裏解説(上村秀裕)....3 11月12月の碧水ホール....3 10月の碧水ホール....4 文化経済基礎論その2(小西広恵)...4 これからはじめるジャワガムラン....4 |
「野村誠の世界」 おつかれさまでした。 僕はてっきりガムランという伝統芸能を子供達にも楽しんでもらおうという イベントだとばかり思っていましたが、今まで味わったことのない興奮に満 ちた「音楽」がそこにはありました。 1日だけ参加したワークショップでは、子供と一緒に音楽にあわせて自己紹 介させられたり、はじめはNHKの子供番組に参加しているような気がし て、戸惑いを隠せませんでした。 しかし、2グループに別れて「しょうぎ作 曲」の段階に入ると、子供たちも立派な一作曲家の顔になっていることに驚 きました。皆で順々にパートを重ねていくと、このままずっと弾き続けたい という快感に襲われたものです。 本番当日は大勢の観客が入り、ステージに照明が当たり、さすがにコンサー トらしい雰囲気ではありましたが、ワークショップ同様、空手や奇妙なパ フォーマンス、ピアニカや縦笛、「だるまさんがころんだ」など、ガムラン のコンサートとは思えないシーンが次々に飛び出します。ところが、それら が全て「音楽的」に感じてしまうのが不思議です。野村さんが「げろげろ」 と言ったり、子供がステージを走り回る姿にすら音楽を感じる。館長曰く 「魂のスクワット」は神懸かり的ですらありました。 子供と大人、非凡と平凡、遊びと教養、プロとアマチュアといった、境界と いう境界を飛び越えた世界がそこにあって、母なる大地にも似た無条件の愛 に満ちあふれていたように感じます。 (上原秀格/HVS) |
「アレクセイと泉」 上映会 9月20日 碧水ホール 主催水口文化芸術会館 チェルノブイリ原発事故を題材にした映画なので、もっとシリアスな映画だ と思っていましたが以外にも会場から笑い声が絶えない娯楽性も備えた映画 でした。 まぎれもなく舞台は僕らの生活とはかけ離れたロシアの山奥で、放射能汚染 されていることも事実なのだけれど、あたかも彼らと共に暮らし、共に笑っ ているかのような気持ちにさせられる。つまり彼らと共感しているのである。 言い換えると我々も彼らと変わらぬ「純粋さ」を内に秘めている。だから共 感して一緒に笑える。 原発事故や、自然を失った文明社会も人間にとって悲劇かもしれない。しか し、そんな悲劇を、他愛ない日常の中で包み込んでしまうほど人間は「たく ましい」ことをこの映画は伝えているように思う。 アレクセイにとっての「泉」とは紛れもなく、彼を囲む家族であり仲間であ り自然であり、彼の悲喜交々の「日常」である。日常という名の下では、そ こがロシアであろうが日本であろうが同じである。自然が素晴らしく、高度 文明化社会が間違っているというより、「日常」の中に「泉」を感じ取れる かが問題なのであろう。我々にもそれが可能であることを、アレクセイと共 にこの映画を楽しんだ事実が物語っている。 (上原秀格/HVS) |
●奄美島唄ライブ at 碧水ホール について 碧水ホールは民族(俗)音楽、ワールドミュージックといわれるジャンルのコンサートを開催してきました。その中でも、さまざまな「うた」を取り上げてきました。 1996年… アフリカ・ヌビアのうた、津軽のうた 出演:ハムザ・エルディーン、木下伸市、木津茂理、木津かおり、中川博志 よしなしうた 音楽と詩の朗読の夕べ 出演:DIVA(谷川賢作、高瀬麻里子、大坪寛彦)、谷川俊太郎 1997年… 浄土声明×インド音楽 出演:七聲会、アミット・ロイ、中川博志、クラット・ヒロコ、寺原太郎 沖縄しまうた 南の風、海のハーモニー 出演:ネーネーズ、大島保克、知名定男、知名定人、京都琉球ゆう遊会 1998年 南の唄 北の歌〜琉球八重山の唄とアイヌの歌 出演:安里勇、具志堅京子、OKI 1999年 ブルガリアン・ボイス 出演:ビゼロビ・シスターズ他 2000年 矢野顕子出前コンサート 浄土声明+インド音楽+ダンス 出演:七聲会、アミット・ロイ、HIROS、クル・ブーシャン・バールガヴァ、ダヤ・トミコ 2002年 アイルランド音楽の夕べ 出演:セタンタ(ディル・ラス、フィン・マックギンティ、ハンズ・アラキ) 巡り巡って今年は奄美の島唄です。奄美の唄を全国区に知らしめた大ベテランの築地俊造。今年は初となるスタジオ録音CDを発売されましたが、これはかっこいいアルバムです。RIKKIこと中野律紀は、日本民謡大賞を史上最年少で受賞した人で、元ちとせにさきがけてプロデビュー。国内外で活躍する歌姫です。そして、山下聖子は、次代をになう大器として注目されています。 この公演では奄美以外ではなかなか手に入らないという奄美の黒糖をお出しすることになりました。パンフには、奄美音楽に詳しいジャバラレコード代表の森田純一氏が寄稿してくださいました。まだ、何か新たな展開があるかもしれませんが、それは当日のお楽しみということで、みなさまのお越しをお待ちしています。 (上村秀裕/碧水ホール学芸員) |
![]() ワークショップ野村誠の世界 2 『しょうぎ作曲』を伝授、手にしているのはおもちゃの鉄琴。 |