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HVS通信 vol.64 平成15年(2003年)10月 Hekisui Hall volunteer staff original since 1995


HVS通信 vol.64
2003年(平成15年)10月
HBTYにはかなわないっ。(minami)...1
野村誠の世界・アレクセイと泉(上原秀格)...2
奄美島唄ライブat碧水ホールについて(上村秀裕)....2
●「湖国ゆかりの映画選」・・裏解説(上村秀裕)....3
●11月12月の碧水ホール....3
10月の碧水ホール....4
文化経済基礎論その2(小西広恵)...4
これからはじめるジャワガムラン....4

「湖国ゆかりの映画選」
ラインナップ裏解説

 湖国滋賀とご縁があるたくさんの映画群の中から、2日間で6本上映という制約の中で選び抜くのは至難でした。今回おしくも選外となった映画は、またの機会のために記憶にとどめておくとして、今回の上映会が、その日のために繋がるようにしたいと思います。
 さて、オープニング上映の『雨月物語』(1953)は、海外にもっとも知られる日本映画の一本にして、溝口健二監督の名作。ゴダールもマイベスト10に入れてます。今からちょうど半世紀前の映画で、1953年といえば、今年生誕100年を迎える小津安二郎監督の『東京物語』、国民的大ヒットの『君の名は』などもこの年。「古くならないのが新しい」と言ったのは小津ですが、『雨月物語』も、まさにその好例。琵琶湖とその周辺でロケ撮影が行われています。
 続いて『反逆児』(1961)は時代劇の巨匠、伊藤大輔監督の代表作。失われたものと思われていたサイレント映画『忠次旅日記』の発掘が数年前に大きくクローズ・アップされました。わたしは2年前に、部分的ではありますが、『忠次旅日記』を観たあと、フィルム発見と修復の経過を聴講する機会に恵まれましたが、やはり伊藤大輔監督には「反逆魂」と「滅びの美学」が根底にあって、そのテーマをずばり題名に持ってきた入魂の一作が『反逆児』。甲賀郡石部町でも撮影が行われています。
 前半最後の上映作品『幻の湖』(1982)は、東宝50周年記念の超大作にして問題作。いや迷作か?当時は公開が早々に打ち切られ、文字どおり幻の時代が続いたこの映画。90年代半ばになって、雑誌「映画秘宝」が取り上げたことに端を発し、今や熱狂的なファンを獲得するまでに。たんなるお宝ではすまされない何かがあります。『幻の湖』は、もちろん琵琶湖が主要な舞台で、タイムスリップして小谷城主、浅井長政のもとへ嫁いだ織田信長の妹「お市の方」も出てきます。お市の方といえば、勇敢に戦った悲劇のヒロイン&美女として語り継がれている人物。この映画を観たあと、お市の方も湯治したという浅井町の須賀谷温泉で歴史に思いをはせるのも一興かと思います。温泉チャンピオンの郡司勇さんが鉱泉ベストテンで絶賛した泉質で、温まります。
 後半は『祇園祭』(1968)でスタート。中村錦之助(萬屋錦之介の当時の名称)が、映画会社の枠組みを超え、数々の困難の末に完成させたという大作『祇園祭』。出演者も主役級がズラリ。ところが、映画のデータベース「ぴあシネマクラブ」ですら、この映画のことは触れられず、祇園祭のシーズンに京都で観られる以外は、スクリーン上映はもちろんのこと、テレビ放映、ビデオ化などもなされていない。映画産業が下降していく最中、祇園祭の復興を描くこの映画を、錦之助さんはどんな思いで作ったのか。水口町下山で撮影された場面があります。三船敏郎が抜群にかっこ良いです。
 重厚な大作を観た後、ラスト2本は快作でしめます。滋賀県出身の映画監督といえば、吉村公三郎監督、出目昌伸監督。あの田原総一郎も、もとはといえば映画の人だった。そして、今回は念願の沢島忠監督(湖東町出身)作品をとうとう上映。時代劇を刷新したアイデアとスピード感溢れる映像は、日本映画の、といった枠組みよりも、香港、インド映画などを含めたアジアの中の映画として語る方が今日的かもしれない。今回上映することになった『冒険大活劇 黄金の盗賊』(1966)は、当時の日本では当たらなかったそうですが、フランスでは評判だったようです。なるほど、琵琶湖に潜るファンタジックな場面は、ジャン・ヴィゴの『アタラント号』に始まり、『黙の世界』、『グラン・ブルー』、レオス・カラックスの『ポンヌフの恋人たち』など、水中に潜る場面が美しいフランス映画を思い起こさせます。
 そして、特集最後を飾るのは『彌次喜多道中記』(1938)。1998年に開催した「1930年代ニューウェイブ」と題した企画上映では、同じマキノ監督の『鴛鴦歌合戦』(1939)を最後に持ってきていました。マキノの映画も、とにかく爽快な気分で会場を後にさせてくれます。当ホールの座席は電動可動式客席で、誰かがリズミカルに体を揺らすと、その揺れは他の人にも微妙に伝わる構造になっています。『鴛鴦歌合戦』の上映時は、その微妙な揺れが観客の連帯メーカーとなりましたが、今回もそんな幸福な映画体験となることを期待して、皆様のご来場をお待ちしています。
(上村秀裕/碧水ホール学芸員)
11月、12月の碧水ホール

■11/1-2(土-日)10:00開演
水口町文化祭(舞台芸能の部)
【主催】水口町文化協会
■11/8-9(土-日)9:30開場
水口町文化祭(展示の部)
【主催】水口町文化協会
■11/16(日)9:30開場
水口っ子まつり
【主催】水口町青少年育成町民会議・水口町教育委員会
■11/18-23(火-日)9:30開場
郡書展
【主催】甲賀郡書道協会
■11/25-28(火-金)9:30開場
水墨画展(展示コーナーで)
【主催】玉仙水墨画愛好会
11/29-30(土-日)
湖国ゆかりの映画選
入場料1回500円
フリーパス前売2000円、当日2500円
29(土)11:30 雨月物語 1953
    13:30 反逆児 1961
    15:40 幻の湖 1982
30(日)11:30 祇園祭 1968
 14:40 冒険大活劇 黄金の盗賊 1966
 16:30 彌次喜多道中記1938
【主催】 水口町教育委員会 碧水ホール
12/13(土)13:00-15:00
あなたのピアノ+室内楽ワークショップ
前売・当日共\1000
 (第1日)
■12/20(土)12:00-14:00
あなたのピアノ+室内楽ワークショップ
 (第2日)
12/20(土)18:30開演
クリスマスコンサート
 鈴木博詞指揮・京都チェンバーオーケストラ
  ヴァイオリン 幸田聡子 他
 前売り2000円  当日 2500円
■12/27(土)10:00-18:00
「一日中ガムラン」
 ジャワガムランの練習会です。一般の参加、見学もできます。
【企画】ティルト・クンチョノ


祇園祭(1968)

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