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H.V.S通信 vol.66 2004年(平成15年)12月 home




HVS通信 vol.66
2003年(平成15年)12月



幻の湖を巡る・・・(東力/投稿)...1
碧水ホールのもよおし...2
レポート■湖国ゆかりの映画選( タケワカ/HVS)....3
文化経済基礎論その3(小西広恵/HVS)....4



編集・発行
碧水ホールボランティアスタッフ
   滋賀県甲賀郡水口町水口5671
郵便番号 528-0005
電話 0748-63-2006
ファックス 0748-63-0752
e-mail michio@jungle.or.jp
ホームページ http://www.jungle.or.jp/hvs/
碧水ホールの公式ホームページ
http://www.town.minakuchi.siga.jp/hekisuihall/





さあ、クラシックファンをはじめよう。
 そこには人々を励ましたり、癒したり、考えを深めたりする様々なノウハウと、市民的な活動に献身する指導者と、古典から現代にいたる膨大な優れた楽曲があります。

12/20(土)18:30開演
クリスマスコンサート
 鈴木博詞指揮・京都チェンバーオーケストラ
  ヴァイオリン 幸田聡子 他

第17回水口町美術展
絵画/書/写真/彫塑・工芸/映像
2004年3月6日(土)〜13日(土)9:30〜17:00
3月6日(土)は20:00まで開館、8日(月)休館
募集期間 2月7日(土)〜20日(金)
搬入 2月28日(土)9:30〜12:00
搬出 3月14日(日)9:30〜12:00
「幻の湖」を巡る
雑多な事
       投稿:「幻の湖」のファン 甲西町 東力

 11月29日、ついに碧水ホールのスクリーンで、「幻の湖」を観ることが出来まし た。物語の舞台となっているのは、我がご当地である滋賀県は琵琶湖であり、この作 品を再見するのに、この地は、もってこいのリアルな条件を備えていると言えます。 本作は、天下のメジャースタジオ”東宝”の超大作として製作されつつも、なんと1 週間で公開が打ち切りとなった、その名が示すように、現在では作品自体が”まぼろ し”と化してしまった、日本映画の不世出の大作にして、暗黙に封印された、曰く付 きの映画であります。
 作品が製作されたのは、今から20年以上も前で、主役を一般 から”1000万円の出演料付き”で公募するなどの、キワ物的な話題もありました が、その監督は、原作から始まり、製作、脚本、果てはファイナルカット(完成作の 編集権)の権限をも与えられた、日本映画の名作ばかりを手掛けてきた名脚本家 の、橋本忍であります。
 スタッフ陣もハンパじゃありません。共同製作には、 松竹の数々の娯楽作を支えてきた野村芳太郎。音楽は、「砂の器」「八つ墓村」 での美しいメロディが今も記憶される芥川也寸志。映像の造形を支える美術監督は 、村木与四郎と竹中和雄の名匠2人。 メインスタッフだけでもこれだけのメンツです。 総製作期間は3年にも及び、滋賀ロケの撮影だけでも1年かかっています。 今の日本映画界の現状からすると、これだけの条件での映画製作は、羨ましい 限りであることは容易に想像がつきます。
 しかしながら、前述のように、 作品は”まぼろし”と化してしまいました。しかもその後、雑誌などで”日本映画の 珍作・怪作”などと紹介されるに至り、本編を観ていない人も巻き込み、かってな 憶測評だけが1人歩きしている状況であります。しかし、1982年の初公開時に観た私には、日本映画の傑作の1本、という印象が ずっと残っており、その為、すでにリリースされているDVDソフトも無視し、 いつかもう一度スクリーンで観れることを期待していたのでした。
  本作の初公開は、1982年の9月11日。当時、福井県に在住していた私は、期待 に胸ふくらみ、劇場に跳んで行きました。初回1回目
を観終わった私は、単刀直入 、不思議な昂揚感を感じました。それはこの作品が、他ならぬ、日常の中の多様 性と意外性を臆することなく表現している、言わば映画だからこそ描き得る大胆な 作劇法をストレートに表現しているからでした。そしてこれは、橋本忍監督の個の 作家性が現われたものであるとも思いました。
 つまり、これまでの媚びた大作然 としての気負いは微塵も無く、日本の原風景を追うがごとくのカメラワークを従え、 戦国の世や、果ては宇宙への想いまで馳せ飛び越える描写も、単に表現の手段 に過ぎないプロット構成をして然り。またその中で、主人公がトルコ嬢(今のソープ嬢)であるがゆえの蔑視的差別の 問題や、かつて無いほどの琵琶湖畔の美しい風景を捉えた俯瞰ショットの 映像の数々から、日本の自然に対する畏敬の念をも、覗かせたりする。
 そして何といっても忘れられないのが、物語後半の狂気を帯びた主人公の鮮烈な マラソンシーン。黒と赤の着物で、その帯には出刃包丁を刺し、堅田あたりの 平凡な日常風景を激走するその強烈なまでのコントラストの違いは、演出を超えた ある種の土着的な怨念のほとばしりを感じざるを得ません。
 映画全編に仕掛けられたあらゆる伏線の楽しみ方は、それぞれ個人の判断に任せ、 映画の描ける面白さや自由度に対して、果敢に挑戦したこの作品を、私自身は ”傑作”の1本と推します。
(投稿:「幻の湖」のファン 甲西町 東力)




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